最初に
物心ついた頃から車はマツダな人なので、マツダに関しては色々思うことはあるわけです。マツダってメーカーは、飛躍とヤラカシを綺麗に繰り返してくれるメーカーで、ここ数年のどうにもパッとしない状況ってのは、まぁ知ってたってぐらいに予想通りなわけです。
そんなわけでなんでマツダがパッとしないかについて、ダラダラと書いていこうと思います。
最近までの状況整理
最近のマツダが輝いてた時代というのは、いわゆる第6世代と呼ばれる車種が一通り揃った時代。だいたい2代目のCX-5が出た頃でしょうか。5〜6年前ですかね。
その他辺りからマツダのせいではない逆風が、吹き始めたのは同情すべき部分ではあります。いわゆるディーゼルゲート事件によるディーゼル車に対する逆風と、急激なBEV推進の流れです。
ただ、ちゃんとしたBEVが無いからマツダはダメなんだ!という気は無いですが、本来主力に考えていたエンジン車が現状どうなのよ。っていう話です。
まず整理しましょう。第6世代のマツダの強みは次の2つになります。一括企画と混流生産です。
一括企画というのは、マツダ車としての横展開になります。大きい車だろうが小さい車だろうが、同じマツダ車としての特性を持ち、特定の車種ではなく、マツダ車として選ばれるようにする。自分のライフスタイルにあった車種を選べるようにするって話です。
よくネットでは、マツダ車はどれも同じ見た目で区別つかないと言われますけど、それはある意味狙い通りなわけですね。
混流生産というのは、生産時に専用のラインを持たずに、必要な車種をオーダー順に1つのラインで組み立てて行く技術です。これは生産数が少なくても工場をフル稼働でき、小型FF駆動SUVのCX-3と小型FR駆動のロードスターと大型FF駆動SUVのCX-8が1つのラインで順番に作れるわけです。
こうした強みを持って、いたずらに台数を追わずに、自動車シェアの2%であるマツダユーザーに満足されるような車作りを目指すというのがマツダの戦略でした。まぁ、バブル期の悲劇を知っている身としては分からないでも無い話です。
さてさて、そんなマツダがパッとしなくなった最初の躓きは、一括企画の第2陣第7世代の車種がどうにもヒットしないところです。
第7世代は世界的に1番台数を稼いでもらわないといけないMAZDA3でのデビューでした。デザイン的にも評価は高い車なのですが、どうにも売れていません。また、このMAZDA3で初搭載されたSKYACTIV-Xエンジンですが、発売前の話題性とは逆に全くパッとしません。
SKYACTIV-Xエンジンに関しては、技術的にスゴいのはわかるけど、その初期コストの割にはユーザーへのベネフィットが足りないという、技術先行企画にありがちな結果ではありますよね。SKYACTIV-Dが明確なベネフィットの良さでヒットしたのとは逆の結果になるわけです。
世界的にはSUVブームなので、スポーツハッチバックとセダンのMAZDA3が売れないのは仕方ないのかもしれません。そこでMAZDA3ベースのSUVでもあるCX-30がデビューします。これまたパッとしません。
そしてそうこうしているうちにマツダの本命でもあるラージアーキテクチャの開発が遅延していき、エンジン車への逆風をもろ被りの中でCX-60がデビューするわけです。
さて、そんな感じで第7世代が揃ってきた今、一番売れているマツダ車は何でしょうか。そう、第6世代のCX-5になります。どうしてこうなった……
一括企画とは何だったのか
MAZDA3のデビューと共に、第2世代のスモールアーキテクチャが誕生しました。ところが、このスモールアーキテクチャで造られた車はMAZDA3とCX-30、あとMX-30という事になります。MX-30はBEVプラットフォーム的な面があるので、厳密にはスモールアーキテクチャとは違うかもしれませんが。
つまり、CX-3やMAZDA2はモデルチェンジする事なく放置されています。将来的にラージに切り替わるCX-8はさておき、一括規格で横展開とは何だったのか?と言わざるを得ません。
CX-5やCX-8に関しては、年次改良でマツダコネクトが新しくなるなど、第7世代の技術を反映させる努力が見えますが、CX-3やMAZDA2は古いマツダコネクトのままです。その状況で新車として購入する選択肢に上がるかどうかと言われれば微妙なところでは無いでしょうか?
小型のマツダ車が欲しいという人たちを完全に置いてけぼりにしています。
混流生産の強みが活かせていないマツダ
混流生産は工場のキャパシティをフル活用するだけでなく、本来ならラインによって型決めな仕様のバリエーションを無数に広げる事ができます。あくまで生産現場という限定の話になりますが。
しかし、マツダ車の売り方としては、割とメーカーオプションはパッケージ化され、思うようなオプションが選べないという、極めて固定ライン生産的な売り方になっています。まぁ、色んな事情があるのでしょうけど。
よく言われるのが、サンルーフなどが最上級車しか選べないであったり、レザーパッケージなどにしたければ上位のエンジンモデルにしか存在しないなどです。個人的には世間一般には売れない小さな高級車路線が好きだったりするのですが、そういう小型エンジン高級内装みたいな路線は選べないのです。
まぁ、色んなしがらみがあるのかもしれませんけど、シート生地は普通がいいけど、内装はレザーにしたいとかあるじゃないですか。むしろ、レザーシートオプションとか普通にありますよね。何で逆ができないの?
逆に超高級車みたいに、内装色とか色んな選択肢から自由に選べます。という方向なら、マツダのファンも増えると思うんですよね。在庫管理の問題はあるにせよ、混流生産はそうしたやり方がやりやすい環境だと思います。
いや、まぁ、わかるんですよ。このオプションをつけるならベースモデルを高いヤツ限定とかにした方が、利幅は上がりますもんね。我々が買えるのは欲しい車ではなく、マツダが売りたい車なのです。
SKYACTIV-Xを売りたいが故に
そんなわけで、せっかく開発したSKYACTIV-Xを何とか売りたいマツダのせいで、大きくワリをくらったのがMAZDA3とCX-30です。
この2つはSKYACTIV-Xを頂点としたモデル構成になっており、日本で人気のSKYACTIV-Dがワリをくっています。言った通り、ベネフィットが少ないXよりもDの方がみんな欲しいわけです。
いや、もちろんディーゼルモデルも存在します。だだし、D2.2ではなくD1.8の方です。そもそもD1.8はD1.5の改良モデルであって、性能的にはやっぱりD2.2の方がすごいわけですよ。先代アクセラはD2.2があったのにね。
MAZDA3の方はスペース的に難しいのかもしれませんけど、CX-30なら余裕あるでしょ。何で載せないのよ?って事を考えた時に、SKYACTIV-Xがますます売れなくなるから以外の理由が無いんですよね。
そうなってくると、やっぱりディーゼル選ぶならCX-30よりCX-5の方がいいよね。CX-60はちょっと大きすぎるよね。って事になり、CX-5がますます売れていくわけです。
選べなくなってきたマツダ車
昔はマンションとかの機械式駐車場は、だいたい横幅1800mmぐらいが標準でした。最近は車の大型化が進んでいるので、1850mm対応が多い感じでしょうか。
ラージアーキテクチャはその名前の通り、一番小さいサイズのCX-60でも1890mmという横幅になります。ミラーtoミラーはハリヤーと同じぐらいとか言われてもねぇ……
3列シートのCX-8から小型のデミオ(MAZDA2)まで幅広く選べたことが第6世代のマツダの良さでした。
しかし、ラージアーキテクチャのサイズはやはり人を選び、スモールの中ではMAZDA3/CX-30のサイズのみ最新、それ以下は古いまま、最新技術が何とか反映されているのはSUVのみという、SUVブームとはいえ極めて歪な製品構造となっています。
もちろん、売れる商品に力を入れることはビジネスとしては正しいです。ただし、ずっとマツダを買い続けていたユーザーが、同じサイズで乗り換える先がない(魅力がない)という状況が続く現状は、マツダを選ぶ2%に愛されるメーカーの姿とはとても思えません。
MAZDA2 198 Styleのように、選べるバリエーションを増やす施策はとても良いと思いますし、広げて欲しいと思うのですが、やはり中身を最新にアップデートして欲しいと思います。
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